アウルハウス 考察 カヴン制度について その2

カヴン制度の背景とは?

 

 

皇帝ベロスは何を意図してカヴン制度を作ったのか。「魔女や妖魔たちが魔法を野放しにしていた野蛮な時代を終わらせ、ボイリング島に秩序をもたらすために使える魔法を制限した」はあくまで大衆に広まっている話。本当のところ皇帝が何をやったか明らかにされてない。

 

どんな社会制度にも必ず統治者の意図がある。カヴン制度を普及させたのにも皇帝ベロスの思惑があるはずだ。皇帝は何を考えてこの制度を作ったのか、その裏にある背景を推測してみた。

 

1.権力者の台頭を防ぐ

ベロスは50年前に野蛮な時代を終わらせた、という供述から彼が権力者であり侵略者でもある可能性があると確認できる。権力を持つ者にとって最も恐ろしいのは自分の地位を脅かす存在。自分より強い魔法使いが現れて欲しくないがために「野蛮な人たちを文明化する」口実で国民の魔法を制限するようになった。

 

 

引用元:

https://theowlhouse.fandom.com/wiki/Agony_of_a_Witch/Gallery?file=Taught_magic.png

 

現にカヴン制度が浸透した現在の魔界では、カヴンに入団する際に施される印の影響で1人1分野の原則によって複数の分野の合わせ技を使える存在はほぼいない。つまり極端に富や魔法の力を持つ個人が現れる可能性が低くなる。

カヴン制度は富や権力の集中を防ぐことによって皇帝を脅かすほどの魔力と権力、財力を持った存在の台頭を防ぐ役割を果たしていると考えられる。

 

2.国民の不満を抱かせない

いくら新たな権力者が現れるのを防いだ所で、政治に不満を抱いた国民たちに反乱を起こされては元も子もない。強硬的な手段で反発を招くことなく国民を大人しくさせるには政治的無関心の状態にとどめる必要があった。

そこでカヴン所属を条件にパンと娯楽ならぬ教育と充実した生活を保障。従う者に現代の福祉国家でも実現できない理想の社会制度の恩恵を与えたのだ。

 

図書館など公共施設も充実している

引用元:

https://theowlhouse.fandom.com/wiki/Bonesborough_Library/Gallery?file=S1_EP07_Bonesborough_Library_Interior_2.png

子供たちは幼~高に至るまで無償かつ質の高い教育が保証され、10代以降では専門の分野に特化して学ぶことを許される。卒業すれば自分の好きなことや得意なことに基づいて選んだカヴンに入団し、真面目に働いてさえいれば人並みの生活を普通に送れる給料をもらえる。

過度な受験戦争や階級闘争もなく、自分がやりたい仕事をやらざるを得ない上に低賃金に苦しむこともない。入団すれば事実上健康で文化的な生活を保障される現状に多くの人が満足し、今に至るまで皇帝の統治を認めている。

 

3.優秀な人材のリクルート

子供の頃からカヴン入団を意識させるのは皇帝にとっても利益がある。多くの魔法学校の生徒が卒業後にカヴンに入るという認識が共有されているため、カヴンの説明会などを定期的に開いて若者を集めやすい。集まった参加者たちの中から優れた魔法の才能を発揮する子を発掘できるかもしれない。

 

若い世代の育成のために城内のツアーも開催

引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/Agony_of_a_Witch/Gallery?file=Shade.png

 

優秀な人材を発掘して皇帝直属やその下の9つのカヴンに入団させることで、才能がある者を自分の手中に囲い込める。そうすることで自分の右腕として使えるだけでなく、早くに印を腕に刻ませて自分に歯向かう可能性を減らせる。まさに一石二鳥のやり方だ。

 

まとめ

カヴン制度は市場の競争や権力者の台頭、限られた人への富の集中を防ぐことで皇帝ベロスの権力が脅かされる危険性を排除する仕組みだ。充実した社会制度によって国民が政治に無関心で統治に意を唱えないように仕向けることで、皇帝は自らの地位を維持しつつも己の思惑に気付かせないように企んでいる。何をやろうとしてるかわからないけど何かを考えているにちがいない。