『ハズビン・ホテルへようこそ』S2 考察 なぜチャーリーは成長していないように見えたのか?

 

アマプラで『ハズビン・ホテルへようこそ』シーズン2の新エピが毎週公開されていたころ、SNSでこのような意見をよく見かけた。チャーリーが成長していなくてイライラする。確かにシーズン1から1年が経過しているんだし、もう少し成長してもいいのでは?と思わなかったと言えばうそになる。しかしよくよく考えると、1年経っても成長の様子がなく相変わらず他人の話を聞かないのも無理はないのだ。

 

 

 

1.人外ゆえの成長の遅さと経験値の低さ

外見が人間に近いので、つい忘れてしまいがちだが、そもそもチャーリーは人間ではない。堕天使と元人間を両親に持つ特殊な悪魔だ。従って肉体的にも精神的にも成長がとても遅く、200年以上生きているものの人間に例えるとまだ10代後半から20代前半くらいまでとまだ若い。

 

加えて、地獄生まれのチャーリーには「前世」がない。ホテルにいる他の仲間たちは、かつては人間として生きていた。その中で酸いも甘いもなめた後、地獄に落とされて悪魔として人生の延長線を送っている。でもチャーリーには人間として生きた経験が全くなく、当然生きることによる悲哀も理解できない。

 

2.ロールモデルの欠落

地獄で生まれた悪魔であり、なおかつ堕天使と元人間の子でありプリンセス。特殊属性てんこ盛りの彼女には、誰かの上に立つ際に指針であり手本となる存在が全くいない。恐らくその存在がリリスだったのだろうが、 数年前に突然出て行ったきりスマホは通じるのに着信に全く出てくれない。父親のルシファーも全く頼りにならない。

 

ロールモデルがおらず、両親の片方は突然消息を絶って不安でいっぱいの中、お姫さまという立場を利用して天国による無差別殺人から一人でも多くの国民を昇天させて守らなければならない。チャーリーは精神的に非常に不安定な中、経験が浅く精神年齢が若い者にとっては重すぎる荷を背負ってしまっている。

 

3.王族としての処世術

チャーリーはお姫さま、つまり私生活や一挙手一投足を常に誰かに追いかけられ、噂の対象にされ、言動の意図を勝手に色々憶測される存在だ。その中にはヴォックスが「母親の劣化版」と言ったように、彼女が幼いころから心無い陰口を言う悪魔も少なくなかったはずだ。いくら両親に愛され何不自由なく暮らしていても、それが耳に入るのは傷つくだろう。

 

自分を守るためにチャーリーが自ら学習したのか、それともルシファーとリリスが意図的に教えたのか。いずれにせよ、恐らく彼女はまだ小さかったころに気に障るようなことを言う悪魔を相手にしないことを学んだ。

 

これが庶民同士なら決しておすすめはしないが、相手を追い詰めて無理やり自分の話を聞かせることができる。しかしプリンセスに対しておいそれとそんな乱暴なことをする悪魔はいない。結果的に彼女の処世術は成功し、自分が耳にしたくない話に自然と蓋をするようになっていったのだろう。

 

4.まとめ

チャーリーがシーズン1から1年経ってもそこまで成長せず、人の話を聞かないように見えるのは致し方ない面がある。特異的な出生ゆえに成長が遅く、手本となる存在もおらず、特権階級ゆえに他人をスキルを習得せざるを得なかった。

 

まだ経験値が低く心に不安を抱えた王族の若者が、模範にできる大人がいない中、未熟なりに何とか国民を救おうと奮闘している。こう書けばチャーリーの言動に問題がある事実は否定できないものの、なんだか健気に思えてくる。もう少し尺があって彼女がそうなった背景や心理を描写できていれば、一部の視聴者のチャーリーに対する印象はあまり否定的にならなかったかもしれない。