Netflix アニメ 陰謀論のオシゴト 感想 ~闇の政府機関へようこそ!~

 

 

 

 

目次

 

 

 

あらすじ

 

世界を影から牛耳る闇の政府機関「コグニート社」に勤めるレーガンは、真面目で仕事熱心な科学者。チームリーダー昇進したのはいいが、壊滅的な対人スキルを補うために新人のブレットと二人でチームを率いることになる。

 

仲間たちとすぐに打ち解け、好かれているブレットにレーガンは面白くない。あらゆる手段を使ってブレットをやめさせようとするが……

 

 

 

 

 

見どころ

オカルトネタ満載

政府は陰の組織に操られている!を筆頭に、トカゲ人間やケムトレイルといったオカルトネタがたくさん。他にも下ネタ、薬物中毒ネタ、映画や有名人、サブカルまでこれでもかというほど小ネタが盛り込まれている。

 

ケネディ暗殺やNetflixがフレンズを配信する権利を確保するために1億ドルを払ったエピソードなど、ちょいちょい「これ本当にやったのか」と突っ込みたくなる話が満載。

 

『ムー』の愛読者や『ノストラダムスの大予言』を読んでいたオカルト好きはもちろん、洋画好きや『サウスパーク』など容赦なくジョークを効かせた作品が好きなら確実に楽しめる。

 

キャラクター

優秀だけど性格に難ありのレーガンを筆頭に、一癖二癖ある連中が集結。イケイケの操作・広報部門担当のジジ、軍人気質のイルカ人間グレン、ドラッグ常用時はまとも?なDr.アンドレ、下品なサイキック・キノコのマジック・マイク。普通のいい人のブレットがいなかったら壊滅しそうなカオスっぷり。それなのに、たまにすごくまともだからそのギャップが面白い。特に正反対のレーガンとブレットが仲良くなっていく様子は、バディもの好きにはたまらない

 

物語

本作は『怪奇現象グラビティ・フォールズ』の監督アレックス・ハーシュと脚本も務めたシオン・タケウチが作っているだけあって、ダークな展開とコメディのバランスが絶妙。毎回大笑いしながらも所々で胸をぐっと締め付けられ、感情がジェットコースターのように揺さぶられた。

 

特に5話は神回。古き良き80年代でなつかしさを呼び戻しながらも、今では時代遅れとなった負の側面をとことん皮肉っている。そこに普段は明るいブレットの影がパンチを利かせていた。

 

シーズン1の最後には新たな強敵も立ちはだかり、レーガンたちの苦難はまだまだ続く。続編が今から楽しみでしかたない。

 

個人的な感想

※ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

本作は男女のバディものであり、毒親に苦しめられている大人が親と、そして自らの内面と対峙していく話でもある。優秀で使命感が強いけど対人スキルが駄目なレーガンと、能天気だけどお人好しで心優しいブレット。性格も経歴も真逆のエリート2人は、実は同じような心の傷を抱えていた。2人とも友達がいなくて、毒親によって育てられている。

 

 

レーガンとブレットの過去

 レーガン飛び級の影響で孤独な少女時代を送った。ランドは自分がいい父親だと主張するが、実際には娘の気持ちを踏みにじっている。発明品で幼かったレーガンにトラウマを植え付け、未熟さをあざけって自尊心を奪い続けた。大人になっても娘を公私ともに邪魔にしている。母親のタミコも常に自分の世界にいて、「あなたのためよ」と善意を押し付けるなど、お世辞にもいい保護者とは言えない。

 

 ブレットは名家の落ちこぼれ扱いされていた。両親は優秀な上のきょうだいばかりに目を向け、ブレットを家族写真に写らせない、誕生日に誰も家に帰らないなど末息子を蔑ろにして育ててきた。周囲からも空気のような扱いを受け、ブレットは幼い頃から家族の影で寂しい思いをしてきた。大学生になって親元を離れてからも寮でいじめられている。

 

見えない虐待

レーガンとブレットは2人とも、孤独な子供時代と青年時代を過ごしてきた。そして大人になった今でも、毒親の存在や残された傷に苦しんでいる。お互いに指摘されるまで無自覚だったように、2人が受けた仕打ちは外からは見えない。

 

レーガンの両親は独善的で歪んでいるけど娘への愛はある。飛び級への理解があるなど、生活水準も悪くない。ブレットの家は上流階級で、衣食住と教育にはお金をかけられている。イェール大学の学費も生活費も全額出しているだろう。

 

確かに恵まれない子よりは幸せかもしれない。でも、2人ともしんどさを感じていて、大人になってからも無意識に苦しんでいる。レーガンに至っては心にしまい込んでしまうほどのトラウマを受けていた。

 

この辺りを親にも愛情があると擁護する人もいる中、正当化せずにちゃんと毒親として書ききってくれた所はうれしい。特にランドは愛情を名目に我欲と打算で娘を支配している。それが保護者のエゴであっても愛情は伝わる故に、今でも親や家族に囚われている人はきっと少なくない。

 

 

これからの2人

レーガンとブレットは全く似ていないようで、表面化しづらい痛みを抱えて育ってきた。寂しい幼少期と青年期を過ごした2人は、似た経験があるからこそお互いのそれに気づかせた。孤独だった2人が長所を認め合いながらビジネス・フレンドとして絆を深めていく様子には胸が温まる。

 

物語はまだ終わっていない。2人の心の傷は完全には癒されていないし、レーガンの前にはこれまで以上に前途多難な道が立ちはだかっている。レーガンとブレットはどのように過去と現在に向き合っていくだろうか。決して楽な道ではないけど、仲間がいる今はきっと大丈夫。