アウルハウス 5話 魔法団の大会 感想

あらすじ

ルースはウィローとガスに誘われてカヴン(魔法団)の大会に参加した。カヴンへの勧誘が行われる楽しいイベントだけど、イーダは乗り気ではない。中でも最高峰の皇帝カヴンを毛嫌いし、リーダーのリリスと何かある様子。

 

一方ルースはアミティと再会。ルースのせいで校長先生に叱られ散々な目に合ったとアミティは怒っている。キングに意地悪をしたことで怒ったルースはアミティに決闘を申し込んだ。ルースが負けたら魔法修行をやめる約束。決闘のことを知ったイーダはインチキをしてでも勝たせようとするが、ルースは乗り気ではない。

 

決闘が始まるとルースはそのことをアミティに伝えようとするが、その前にアミティ側もルール違反をしていたとイーダに暴かれる。初めから知らなかったアミティはショックでその場を立ち去り、姉妹は子供たちそっちのけで白熱したバトルを繰り広げる。

 

ルースはアミティの後を追いかけて謝る。今までの努力が水の泡だと悲しむアミティ。自分は魔女じゃないとみんなの前で証明しろと言ったが、魔法を使えないルースが別の形で魔法を練習していると知ったアミティは、努力を認めて決闘前に行った契りを解いた。

イーダも逃げ出してその場は丸く収まったかに見えたが、キキモラは部下のリリスに全力でイーダを捕らえるように命じたのだった。

 

新キャラ

リリス:イーダの姉。皇帝のカヴンの一員

 

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画像引用元:

https://theowlhouse.fandom.com/wiki/Covention/Gallery?file=S01E05_Covention_-_37.png

 

 

 

キキモラリリスの上司。鏡に映って登場する

 

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画像引用元:

https://theowlhouse.fandom.com/wiki/Covention/Gallery?file=S01E05_Covention_%2528689%2529.png

 

 

感想

魔法が大学の学科みたいに専門分野を選べるのはすごく楽しそう。10代で進路を決めないといけないのは少し早すぎるかもしれないけど、やりたいことが決まってる子は好きなことに集中できて役に立つ制度。もちろんデメリットもあって色々な分野を学ぶことはできない。この制度は皇帝ベロスの統治と何かしらの関係があるはず。

 

イーダの姉リリスが初登場。妹とは対照的に堅実な優等生タイプのエリートだけど姉妹が対面するとまぁ大人気ない。バトルシーン(または盛大な姉妹喧嘩)は魔法の使い方にそれぞれの性格が出ていてかっこよかった。

 

大人気ない2人と違って今回は子供の方が大人。よくアミティはルースが魔法に一生懸命なのを認めて許した。身勝手な理由で自分が積み上げた努力の成果を2回もめちゃくちゃにされて、キングのカップケーキを潰すだけじゃ本当は怒りが収まらないはず。それでも相手が努力をしていることに目を向けられるただの嫌味な優等生ではない。

 

ルースはアミティの後を追いかけてちゃんと謝れる優しさを持っている。だけど自分が好きなことに夢中になるあまり、周囲が見えなくなって人を無自覚に傷付けてしまう側面*がある。何らかの形でこの問題をもう少し掘り下げて欲しかった。でも叱られてばかりいた子が、違う場所や世界ではありのままを受け入れられているのは心が救われる。

 

*監督のダナ・テラス氏はユーチューバーRebecca Roseとのインタビューの中で、ルースはADHDだと言っていた。

https://www.youtube.com/watch?v=_KU70UFGF2s

1:07:13~1:08:24

 

用語・小ネタ解説

カヴン制度

皇帝べロスによって作られた魔法を分野ごとに分ける制度。各カヴンを象徴する色とtrackがあり、’Head Witch’または’Coven Head’という特に優秀で皇帝に必要不可欠な役割を果たす魔法使いによって率いられている。

メジャーなカヴンは皇帝のカヴンを筆頭に、アボミネーション、吟遊詩人、魔法生物、建設、ヒーリング、イリュージョン、預言(占い師カヴンとも呼ばれる)、植物、ポーション。その他あらゆるマイナージャンルのカヴンがある。

 

カヴンの大会

カヴンへの勧誘イベント。Convention(英語:大会)とCoven(魔女の集まり)の言葉遊び。

学校や就職の合同説明会みたいに広い会場にブースが立ち並び、各カヴンの体験やトートバッグやボールペンなどがもらえる。各カヴンに入ると決めた人は腕に印を施され、そのカヴンの系統の魔法しか使えなくなる。

 

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https://theowlhouse.fandom.com/wiki/Covention/Gallery?file=S01E05_Covention_%252890%2529.png

 

 

オマージュ

ドラゴンボール

パワー増強グリフの影響で力がみなぎるタイニー・ノーズはドラゴンボールスーパーサイヤ人のオマージュ

 

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https://theowlhouse.fandom.com/wiki/Covention/Gallery?file=S01E05_Covention_-_28.png

シナボン

決闘中のイーダとリリスの背後にある軽食。Sin(英語で罪)-a-Bun(小型の甘いパン

)と発音で遊んでいる。人間界バージョンのCinnabonは1985年にシアトルで誕生した世界的に有名なシナモン・ロール専門店

 

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https://theowlhouse.fandom.com/wiki/Covention/Gallery?file=S01E05_Covention_%2528278%2529.png

 

トリビア

リリスがサインをしている時に緑色の本にN-OW→Nowと解読できるコードがある。

 

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https://theowlhouse.fandom.com/wiki/Covention/Gallery?file=S01E05_Covention_%2528277%2529.png

 

今回はアウルハウスとフーティが登場しない。全エピソードに登場するのはルース、イーダ、キングの3人だけ

 

これまでの話との関連

・イーダが指名手配されているのは諸々の軽犯罪を犯した以上にカヴンに無所属だから

リリスは妹にカヴンに入ってほしいと願っている

・時系列的には4話から約1週間経っている

 

 

レジェンド・オブ・コーラ ~骨太アジアン・スチームパンクファンタジー~

 

 

あらすじ

前作『アバター 伝説の少年アン』から70年後の世界。勝気でパワフルなアバター・コーラは、風の技を教えてくれると約束したテンジンを追って水の部族から共和城にやってくる。反ベンダー運動や闇の組織がはびこる大都市で、コーラは世界の平和と自分の内なるバランスを取り戻すために奮闘する。

 

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引用元:https://avatar.fandom.com/wiki/The_Legend_of_Korra?file=Promo_of_Korra_bending.png

 

見どころ

アジアン・スチームパンクの世界観

近世アジア風の世界だった前作から70年、コーラの活躍する時代は文明が大きく進歩している。国際都市の共和城にはいくつもの摩天楼がそびえ立ち、道路を自動車やケーブルカーが走る。スポーツのラジオ中継や無線、電話も普及するようになった。1920年代頃の近代アメリカや香港などをモデルに作られた世界観は、アバター・アンの時代から一気に洗練された。

 

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引用元:https://avatar.fandom.com/wiki/Welcome_to_Republic_City?file=Korra_in_Republic_City.png

 

時代の変化と共に新たな問題も持ち上がっている。貧富の差の拡大やマフィアの暗躍はもちろん、近代化と共にベンディング能力を持たないノンベンダーの有力者も登場。彼らの権力を主張する平等党の存在が国際都市に影を落とす。特殊能力を持つ者だけが力を握った時代は確実に変化していた。

 

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平等党の指導者アモン

引用元:https://avatar.fandom.com/wiki/And_the_Winner_Is...?file=Amon_speeching_in_the_Arena.png

 

白熱したバトル

実在する格闘技の動きをモデルにしたバトルは本作にも健在。四台元素に基づいたベンディングの技に加え、総合格闘技をモデルにしているプロ・ベンディングなど新たな戦闘スタイルが加わった。

 

ベンディングはもちろん、最大の特長は多くのノンベンダーが戦いに参加できるようになったこと。共和城の大企業や発明家によって、電気を用いた手袋やメカスーツが開発された。それをまとえば、生まれつき特殊な力を持たない人でもベンダーたちと互角に戦える。

 

ファンタジー的な技と科学の武器がぶつかり合うバトルやカーチェイスは最高にかっこいい。

 

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引用元:https://avatar.fandom.com/wiki/Asami_Sato?file=Asami_electrifies_barbarians.png

 

成長譚

レジェンド・オブ・コーラは10代の少女の一大成長譚でもある。前作が普通の少年からアバターの使命に目覚める話なら、本作はアバターが人間へと成長していく物語。怖い者知らずのコーラが、挫折を繰り返しながら仲間に助けられ、乗り越えていく様子が丁寧に描かれている。

 

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https://avatar.fandom.com/wiki/Korra?file=Korra_ready_to_fight.png

 

 

物語の初めの頃コーラは自信満々。正義感が強い反面、力ずくで問題を解決しようとしていた。守られて育った彼女は共和城に来たことで自分の未熟さや弱さと向き合わざるを得なくなる。特にシーズン3後に心身を傷付けられた状態から

 

苦しみ回復していく過程は、実際のPTSDや行動認知療法に基づいているだけあって圧巻だった。様々な経験を通じて、短期で強引なところのあった少女は、相手との対話を試みることで物事を解決へと導ける大人へと変化を遂げていった。

 

1話で不良相手を力任せにやっつけていたコーラは、最終回で「まだ学ばないといけないことがたくさんある」と師匠のテンジンに語る。彼女は本当に大きく成長した。

 

キャラクター

主人公のコーラは勝気でパワフルな17歳。アバターとして大の大人と互角に戦える力を持っている反面、年齢相応の繊細さや弱さも兼ね備えている。そんな彼女がピンチになったり落ち込む度にハラハラしながら見てしまった。

 

コーラを取り巻く仲間たちも個性豊か。コーラを取り巻く仲間たちも個性豊か。新たなチーム・アバターの仲間はコーラと仲良くなるマコとボーリン兄弟、そして初めての女友達アサミ。

 

 

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新生チーム・アバター

引用元:https://avatar.fandom.com/wiki/Team_Avatar_(Korra)?file=Forming_a_new_Team_Avatar.png

 

 

他にも気の技の師匠でアンの息子テンジンやその家族を筆頭に、数多くのキャラクターが登場する。誰もが人間らしい強さと弱さを抱えていて、シリーズを通して成長していく姿を見られるのは長編アニメの魅力の1つでもある。

 

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個人的な推し:ヴァリックとジュー・リー

引用元:https://avatar.fandom.com/wiki/Zhu_Li_Moon?file=Zhu_Li_and_Varrick.png

 

 

また、『アバター 伝説の少年アン』に出てきたキャラクターや、その人に関係がある人物たちも顔を見せる。前作を見た人は本作で誰がどうなったか探すと楽しいし、本作が初めての人は後で前作を見ると彼/彼女たちの若い頃を知ることができる。

 

ファンタジーに欠かせないのが主人公の敵。アバター・アンの物語は勧善懲悪の物語で、火の国の王オーザイを倒しベンディング能力を奪うことで物語は完結した。

 

アバター・コーラは出会う敵は一味違う。シーズンごとに登場する敵の多くは、それぞれ自分の行動こそが正義だと心から信じている。力を持たざる者と持つ者が平等な世界を作りたい、権力者なき世界を作りたい、崩壊して見放された国の助けになって人が傷つくことのない世界を築きたい。

 

それぞれ強いベンディング能力を持つ上に行動にも納得のいく動機がある。力に比例して信念も強く、簡単には折れない相手。だからコーラは苦戦し、これまでの力任せな解決法とは別のやり方を学んでいかざるを得なくなる。一方的に倒して終わりという訳にはいかないヴィランは、様々な思想の人々が衝突し合う今だからこそ現実に迫っていた。

 

まとめ

レジェンド・オブ・コーラは特別な力を持った少女が、1人の人間へと成長を遂げる物語。前作を踏襲した王道のファンタジーでありながら、新たな世界観を作り上げて現代ならではのテーマを扱っている。

 

精霊の守り人』など強くてかっこいい女性キャラが好きな人やアジアン・ファンタジー好きにはもちろん、『十二国記』や『ヴァルデマール年代記』といった骨太な成長譚を楽しみたい人にもおすすめする。格闘技が好きな人は、バトルシーンでどのベンディングが何の格闘技をモデルにしているか比べると面白いだろう。

 

本作は2022年1月の地点ではニコロデオンを扱っているHuluで視聴できる。吹替版が作られてEテレ辺りで放送れるのを切望する。

 

 

 

 

 

 

 

 

ミラベルと魔法だらけの家 感想・考察 異端児は家族を再生へと導く

 

 

1.あらすじ

コロンビアの奥地にある町「エンカント」。村の屋敷「カシータ」に住んでいるマドリガル家の住人は、みんな魔法の才能(ギフト)を5歳の誕生日に授けられる。でもミラベルだけはギフトをもらえなかった。家族の中でコンプレックスを抱く彼女は、ある日カシータに亀裂が入るのを目にする。家と魔法の力が弱まっていると気づいたミラベルは、原因を突き止めようと奔走する

 

 

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引用元:https://www.disney.co.jp/movie/news/20210719_01.html

 

 

2.感想・考察

楽しいマドリガル

田舎の名家の崩壊と再生が、南米のカラフルな世界観によってファンシーに描かれていた。特に前半は、地方にある歴史の古い家や大家族、または地域を問わず一定の社会水準以上の家にありがちな闇が煮凝ってる。

 

家族の長アルマの姿勢がそれを特に物語っていた。家族の問題を周囲にひた隠しにして、すばらしい家庭を演出する。完璧ではない姿を見せるのは恥だとみなして、家族の体裁を守るためには個人に多少の犠牲を強いてもやむを得ないと思っている。愛情は伝わるから、みんなアルマに逆らえない。こうして築かれた虚像は、孫たちを追い詰めている。

 

力もちのルイーサは、常に強くなければと自分を追い詰めながら魔法の力が弱くなるのを恐れている。姉妹で一番きれいで花を咲かせるイザベルは、いつも美しく愛らしくいることを求められ、自分らしさを出せない。天気を操れるペパは自分の感情を無理やりコントロールしようとしてストレスをためているし、聴力の魔法が使えるドロレスは否応なしに情報が聞こえてしまうのをイザベルの婚約者への愛と共に秘めている。

 

他の家族も描かれてないだけで、多かれ少なかれ色々抱えているのだろう。それでも鬱屈を押し込んで毎日明るく振る舞い、魔法(ギフト)で村を支える。それがマドリガル家のあるべき姿だから。

 

異端児の「普通」の少女ミラベル

魔法(ギフト)を授けられなかったミラベルは、家族の中では異質な存在。社会奉仕や一族の繁栄といった責務を負わされない代わりに、自尊心を傷つけられ劣等感を抱えている。愛されていても、一族の血を引きながら魔法を使えないのは辛いだろう。でも「普通」のミラベルだからこそ、マドリガル家の問題を解決する鍵になれた。

 

家族の異端児や問題児は、一番立場が弱い存在である故に集団内のゆがみを浮き上がらせ、健全さの影に潜んでいるひずみや傷を癒すキーパーソンとなる。

 

ミラベルも例外ではない。家族の中で一人だけ「普通」の彼女は、魔法を使えないというマドリガル家の外では当たり前の価値観を一族に運び込んでいる。役立たずとして扱われることもある反面、義務やプレッシャーも少ない。実はもう1人の異端児としておじのブルーノがいるけど、彼は魔法が使えるために家族の縁から逃れられない。

 

ミラベルは家族の中で、唯一魔法というしがらみから自由な存在だ。だから周囲が村のため家庭のために忙しくしている中、カシータが壊れ始めている原因探しに奔走することができた。

 

他のみんなができることができないのは、逆に彼らができないことができるのを意味する。ミラベルは魔法が使えないからこそ、細かい所に目を向けられる。

 

アントニオのお祝いに家族と村人たちが浮かれる中、1人だけ家に入り始めている亀裂と魔法の源のロウソクの火が弱まっていることに気が付いた。皆が何事もないように日常を過ごす中、ルイーサの目に出ていたストレスのサインを見逃さなかった。それは魔法に頼れない彼女だからこそできたのだ。

 

異端児は家族を再生へと導く

ミラベルは失踪したおじのブルーノに会い、姉のルイーサとイザベラが本当の気持ちを出せるようになるのを手伝う。彼女の行動こそ、家庭に一人はいる「変わった子」の役割。集団をかき乱すことで風通しをよくして、新たな価値観を吹き込んでいく。

 

その姿にアルマが怒りを露わにする。彼女の考え方の良し悪しはさておき無理はない。自分が必死に築いて守ってきた家族の虚像を暴かれそうになっているのだから。

 

アルマが魔法と家に固執してしまっている以上、カシータは一度壊れ、魔法が消えてしまう必要があった。このままでは限界が近付いていることを彼女に理解させなければならなかったのだ。家が崩壊する様子を見るのは、コロンビア内戦によって住処を追われ夫を殺されたアルマにとっては過去に負った傷をえぐる光景だったろう。でもそうでもしなければずっと変わらなかったに違いない。

 

カシータの崩壊によって、アルマは授かった魔法の力を大事にするあまり、家族に負担を強いてしまったことに気づいた。そうなってしまった経緯と思いをミラベルに明かすことで、初めてマドリガル家の在り方を見直すことができた。本当に大事なのは魔法ではなく家族だし、自分が大変な時は村人たちに頼ってもいい。

 

魔法(ギフト)が使えないミラベルは、普通だからこそ家族が隠しているに正面から向き合い、もう一度カシータと絆を立て直すきっかけとなった。マドリガル家は以前のような開かれたようで閉ざされた家族ではない。自分たちの長所も短所も受け入れ、魔法の一族として村を助け、村人たちの助けを借りながら生きていく。カシータとマドリガル家は、ミラベルのおかげで生まれ変わることができたのだ。

 

ミラベルの魔法(ギフト)

ミラベルは魔法が使えない異端児と説明したけど、実は彼女にはカシータと直接つながる魔法が授けられたのではないだろうか。カシータの異変にいち早く気付いているし、本音を明かしたイザベラと和解すると家の亀裂が直ったりと、家の状態は彼女の心を表している。

 

マドリガル家の者は各自が自分の空間を持っていた。カシータ自体が彼女を表しているとしたら、魔法の扉が存在する必要がなかったのも納得がいく。最後にミラベルが家のドアノブをはめた時には扉が光って魔法が復活した。だからミラベルのギフトは何かをするというより、直接家につながっていることじゃないだろうか。

 

あとミラベルはもう1つのギフトを持っている。それは誰かの心に寄り添える力。

 

その力があるからこそ、ルイーサを負担や能力を失うことへの恐れ、イザベラを常に完璧でいなければならないプレッシャーから解放させることができた。従弟のアントニオも、優しいミラベルが大好きだ。そして最後には、悲しい経験から魔法と家に固執してしまっていたアルマの心を解放した。

 

一般人でありながら能力者や権力者に寄り添える人はそういない。ミラベルはとても素敵なギフトを持っている。

アウルハウス 4話 侵入者は誰だ あらすじ 用語・小ネタ解説

 

 

あらすじ

1.キングはルースに様々な妖魔を教えようとしているが、ルースは真剣に聞いていない。すると恐ろしい沸騰した雨が降ってきた。

 

アウルハウスを危険な雨から守るバリアを張ったイーダは疲れていた。ルースは魔法を教えてほしいとせがみ、キラキラのボールペンでイーダを釣る。イーダが教えてくれたのは光の魔法。魔界の住人たちは心臓横にある魔法袋から魔法を使うのだ。

 

魔法の袋がないルースがどうすればいいか、イーダにもわからない。ルースはイーダが魔法をかける所を動画に取ろうとしたが、途中でイーダは倒れてしまった。

 

2.イーダが死んだ!慌てるルースだがイーダはいびきをかいている。二人で彼女を部屋の巣に運んだあと、ルースは魔法の練習を続ける。キングの授業を聞いてあげると約束すると、彼はイーダが毎日特別なポーションを飲むと教えてくれた。

 

その薬を飲んだら魔法が使えるかもしれない。ルースはこっそり飲もうとしたが、大きな雷に驚いて瓶を割ってしまう。すると部屋中の明かりが消え、フーティの叫び声が聞こえてきた。大きな怪物に襲われて気絶したフーティを見て、キングは怪物の正体を、魔界で最強の妖魔スナグルバックと考える。

 

真っ暗な家の中を探索する二人。イーダの部屋に向かうが、室内は荒らされて誰もいない。ルースとはぐれたキングは捜索を続けるうちにスナグルバックに会うが、その正体は全然怖くない怯えた妖魔だった。そこに上から手が伸びてきてスナグルバックは食べられてしまう。

 

3.逃げるうちにルースと再会したキングは、怪物の正体はイーダで、ポーションは呪いを抑制する薬だと知った。二人はイーダを元に戻す作戦を練る。光を使おうとしたルースが録画した動画を見ていると、魔法円の中に魔法陣が見えると気づいた。それを写し取ると、明るい光が浮かび上がる。ルースの初めての魔法だった。その魔法を使って、二人はイーダを止めることに成功する。

 

回復したイーダは、2人に呪いについて話した。まだ幼かった頃に呪いを受け、原因はわからないが魔法薬を飲まないと怪物に変身してしまう。だから人々に「アウル・レディ」と呼ばれるのだ。

 

ルースとキングに後を任せて休むイーダ。夢の中で自分に呪いをかけた者の影と対峙するが、それが誰かわからなかった。

 

感想

感想および考察はこちら

https://karatachi-tree.hatenablog.com/entry/2021/12/01/165434

 

用語・小ネタ解説

用語

妖魔

魔界に住んでいる知的生命体。純水と受動攻撃的な発言(怒りをぶつけられるのではなく、黙られたり無視されたりと消極的な態度で攻撃されること)に弱い。’Even demons have inner demons’「妖魔にも内なる魔物が潜むのだ」とキングが言うように、内面の恐ろしさは外見以上に怖い

 

Boo boo buddy club(ばんそうこう仲間)

’boo boo’はアメリカ英語で軽い擦り傷を意味する幼児語。’boo boo buddy’は、幼児のちょっとした怪我に貼るカラフルでかわいい形のパッチ。中にゲルが入っていて、温かいものと冷たいものがある。

’boo boo buddy club’とは作中の造語で、軽いケガをしたばんそうこう仲間。仲間同士で痛みを分け合うのをかけているかも

 

魔界の天気

イーダによると魔界に天気はない代わりに以下の現象が起こる

・boiling rain: 焼けるほどの熱湯が降る

plagues:伝染病

・gorenados:血の竜巻?

shale hail:岩が降る

・painbows:虹みたいだけど体が裏表になってしまう

 

魔法

何もない所から魔法を使える訳ではなく、ちゃんと法則がある

  1. 杖には魔力が込められているが、まずは杖なしで魔法を使えないといけない
  2. 魔界の住人たちは心臓の横にある魔法袋から魔法を使う。円を書くことによって魔法は発動する
  3. 書く魔法円は大きければ大きいほど効果は高い

   4. 魔法袋がない人間も、魔法陣を書くことで魔法が使える

 

 昔は別の方法で魔法を使っていたらしいが、その詳細は不明

 

スナグルバック

黄色い牙を持つピンクのサル。甲羅は取り外し可能。本ではボイリング島最強の怪物と説明されていたが、実際は大人しくて臆病な性格。イーダに食べられて無事吐き出されたが、本人曰く尻尾が体内で消化されてしまった

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/Snaggleback?file=Snaggleback.jpg

 

 

 

小ネタ

ウィローの制服

オープニングでピンクから緑になっている

 

キリン

キングのスクラップボードの左上に貼ってある妖魔大行進の絵にキリンがいる。伝説の珍獣麒麟が元ネタで、作中のキリンは元々魔界の生き物だったと考えられる

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/The_Intruder/Gallery?file=S01E04_The_Intruder_%252819%2529.png

 

キングの授業の時に見える本のタイトル

以下タイトルの直訳

Infernal Medicine:地獄の薬

Atlas of the Pit:図解大穴

The Big Book of Misery:みじめさについて ※The Big Bookは何かを広く浅く取り上げた本につけられる傾向がある

So You Sold Your Soul:君は己の魂を売ったのか

The Horror of Cooking:恐怖の料理

Just the Pacts:ただの契約

Torture Vol XXIV.:拷問第124巻 

 

キングは立派な妖魔になるための入門書をたくさん読んでいるみたいだ

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/The_Intruder/Gallery?file=S01E04_The_Intruder_%252825%2529.png

 

ウィローとタイニーノーズ

一瞬だけウィローが登場。大事な植物の鉢を両腕にかき集め、ジャンプして歯でブラインドを閉じる脅威の身体能力を見せている。タイニーノーズも雨宿りできる場所を求めて、ネズミらしき生き物を穴から追い出している

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/The_Intruder/Galleryfile=S01E04_The_Intruder_%252855%2529.png

 

イーダは光るものに惹かれる

カラスやカケスが光るものが好きという言い伝えが元ネタ

 

初版、それとも第二版?

本オタクやマニアあるある

 

暗号

呪いが発動したイーダが匂いを嗅いでいる本に暗号が書かれている。暗号を解読するとEH-P-AH-R-T" となり、 "Apart"(別れる)という意味になるらしい

 

ルースは両利き

光の魔法円をトレースした時には右手、壁に書いた時は左手を使っている

 

オマージュ

冒頭

ヒル模様の靴下と格闘するキングを解説するルース。イギリス訛りになっているのは、BBCの自然ドキュメンタリーで有名なリチャード・アッテンボローの真似

 

ボード「妖魔101」

キングが妖魔を解説するために作ったボード「妖魔101」の左上をよく見ると『怪奇現象グラビティー・フォールズ』のビル。右下の方には有名なTRPGダンジョンズ&ドラゴンズ』に登場する怪物「ビホルダー」も描かれている

 

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引用元:

https://theowlhouse.fandom.com/wiki/The_Intruder/Gallery?file=S01E04_The_Intruder_%252813%2529.png

 

 

スナグルバックの絵

キングの本にあるスナグルバックの絵はモンスター・ハンターのオマージュ

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引用元:

https://theowlhouse.fandom.com/wiki/The_Intruder/Gallery?file=S01E04_The_Intruder_%2528316%2529.png

 

シュールな魚

キングが手帳に書いていた絵は、ブリューゲルとピーテル・ファン・デル・ヘイデンの版画『大きな魚は小さな魚を食う』に書かれた足つき魚に似ている。

 

魔界ボイリング島のデザインはレメディオス・ヴァーロやヤン・パウエル、ヒエロニムス・ボスといった幻想的で怪奇的な絵を参照にデザインされた。

ソース:https://www.animationscoop.com/interview-creator-dana-terrace-on-disneys-the-owl-house/

ボスと近い時代に活躍した画家のシュールな絵からも着想を得ているかもしれない

 

 

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引用元:https://www.animationscoop.com/interview-creator-dana-terrace-on-disneys-the-owl-house/

 

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引用元:https://www.metmuseum.org/art/collection/search/338694

 

 

ジブリへのリスペクト

イーダが魔獣となった姿は多分ジブリの影響を受けている。『ハウルの動く城』のカラスに化けたハウルのオマージュか。

 

イーダがキングを追いかけるシーンでは『千と千尋の神隠し』でカオナシ湯屋の廊下で千尋を追いかけるシーンを再現している。

 

 

ウィトルウィウス的人体

イーダが匂いを嗅いでいる本はレオナルド・ダ・ヴィンチの素描『ウィトルウィウス的人体』が元ネタ

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/The_Intruder/Gallery?file=S01E04_The_Intruder_%2528420%2529.png

 

 

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引用元:https://www.leonardodavinci.net/images/gallery/the-vitruvian-man.jpg

 

 

アウルハウス 4話 侵入者は誰だ 考察

 

 

アウルハウス4話は今後の伏線となる情報が多い。今回は特にイーダとキングについて掘り下げられている。魔法の仕組みについても明らかにされていて、話が進んだ後に見返すと色々な発見があるかもしれない。

 

1.キングの寂しさ

 愛すべき妖魔キング。外見は骸骨をかぶった子犬みたいで、アヒル模様の靴下と格闘するなど行動も子犬や子猫みたいな愛くるしさがある。甘いお菓子が好きで、ウサギの人形「フランソワ」を家臣として連れ歩く様子はまるで幼い子供。日本語版では一人称「吾輩」と偉そうな態度とのギャップもかわいらしさを加速させている。

 

 キングはかわいいだけじゃなくて謎めいている。力を奪われて今の姿になったとイーダは語っていたが、あの王冠には実際には何の魔力もなかった。そもそもキングがどこで生まれたのか、なぜイーダと一緒にいるのか全く明かされていない。作中では人間じゃない存在も描写されてるけど、キングと同じような形の種族は1人もいない。我々はキングのことを知っているようで知らない。

 

それはルースとイーダも同じだ。2人はキングをかわいがっているけど、真剣に相手にされないと感じさせてしまっていた。わかっているようで相手の気持ちに気づかないことはけっこうある。やっている側は悪気がない分、本人が傷ついていると気づきにくいのがまた厄介。実際にルースも人間界でキングと似たような寂しさを感じていたのに、授業の動画にかわいいスタンプを付けたりと最初の方は真剣に話を聞いてない。

 

家族の中でも年少だったり立場の弱い人や、グループ内のいじられキャラはキングと似たような思いをしているのかもしれない。真剣に向き合って欲しいのに軽くあしらわれてしまったり、お邪魔虫扱いされてしまう。

 

友達がいなくて、誰からも自分の意見や発言を真剣にとらえてもらえない。ルースに妖魔について知ってもらうことで、ようやく自分みたいな者を真摯に受け止めてくれる誰かができると思った。そう言われて初めて、ルースはキングに自分と同じ思いをさせていたとようやく気づいた。

 

2人はお互いの気持ちを理解し合って、最終的には協力してイーダを元に戻せた。でも現実には手遅れになって仲がこじれてしまうことが多々ある。我々もルースとキングのような関係を築けたらいいのかもしれない。

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/The_Intruder/Gallery?file=Hugging.png

 

 

2.イーダの呪い

4話ではイーダが呪いにかかっていることが初めて明らかになる。毎日ポーションを飲まないとフクロウの魔物に変身してしまう症状は、薬で症状をコントロールしないといけない慢性疾患や発達障害のメタファだと思った。

 

誰も呪いをかけられたくないけど、正しい方法で体調を管理できる。このイーダの説明は、命への別状は少ないけど日常生活に支障をきたす病気や、ADHDの多動や衝動性など社会生活のハンデとなる症状を服薬や投薬によって抑える対処療法に当てはまる。

 

‘No one likes having a curse, but if you take the right steps, it's manageable.’とイーダが言うように、きちんと薬を飲んで対処すれば生活できる。それでも自ら進んで病気やハンディキャップを抱える人はいない。毎日忘れないように薬を飲んで、常に体調に気を付けるのは決して楽なことではない。特にイーダみたいな保護者の場合は、子供にそれを見せまいとするのもわかる。

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/The_Intruder/Gallery?file=S01E04_The_Intruder_%2528264%2529.png

 

 

ルースとキングが薬を飲んだら魔法が使えると考えたように、健康な人が試験で高得点を取るためにコンサータやアデロールを飲むといったことは現実に起きている。でもその薬は本当に必要な人のためにあるもの。そうじゃない人が飲んで成果を出したとしても、体に悪いし根本的な解決にはならない。結局のところ、2話でイーダが言っていたように遠回りでも地味に学んでいくのが一番の近道だ。

 

イーダの呪いには謎が残っている。誰がどうやってかけたのか、いつか解ける日が来るのか。気になることはたくさんあるけど、今はルースとキングも呪いについて説明してもらったから今後は対処できるし、元の姿に戻れたからひとまず安心。

 

 

3.ルースの魔法

これまで魔法修行をがんばってきたルースの努力がようやく実った。ファンタジーには、魔力が先天的な素質で決まる作品が少なくない。『ハリー・ポッター』シリーズにはハーマイオニーみたいに普通の人間出身の魔法使いもいるけど、実はそういう子には先祖に魔力を持たない魔法族がいたりする。他の作品でも貴族だけが魔法を使えたり、才能は生まれつきだったり、なんだかんだ血筋や遺伝子、またはチート能力がものを言う。

 

アウルハウスは魔力の源について斬新な設定を出してきた。魔界の人間は心臓の横についている魔法袋から魔法を使う。魔力が生物由来の設定はあまり見かけたことがない。魔法袋を持っていないルースは、魔界においてハンディキャップを抱えたマイノリティとも解釈できる。

 

それでも魔法を使うのをあきらめきれないルースは、自分にできる別のやり方を見つけて魔法を使えるようになった。魔界の住人が書く魔法円の中には魔法陣がある。それを紙に書いて発動させれば魔法袋がない人間でも魔法が使えるのだ。

 

現実世界の人間にも得意不得意があって、自分ではどうしようもない部分がある。でも何かができないなら、周囲と違った方法でできるようになればいい。それを認めるアウルハウスの魔法は本当の意味で平等で、「もしかしたら自分にもできるかも」と希望を与えてくれる。きっと魔法だけじゃなくて、他のことに挑戦する勇気も与えてくれる。

 

本作は自分に居場所がないと感じている「はみ出し者」にそっと寄り添い、真摯なメッセージと希望を与えてくれる。キングは一体何者なのか、イーダに呪いをかけたのは誰なのか、ルースの魔法修行はどうなるか。魔界とアウルハウスは謎に満ちている。

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/The_Intruder/Gallery?file=S01E04_The_Intruder_%2528507%2529.png

 

Netflix アニメ 陰謀論のオシゴト 感想 ~闇の政府機関へようこそ!~

 

 

 

 

目次

 

 

 

あらすじ

 

世界を影から牛耳る闇の政府機関「コグニート社」に勤めるレーガンは、真面目で仕事熱心な科学者。チームリーダー昇進したのはいいが、壊滅的な対人スキルを補うために新人のブレットと二人でチームを率いることになる。

 

仲間たちとすぐに打ち解け、好かれているブレットにレーガンは面白くない。あらゆる手段を使ってブレットをやめさせようとするが……

 

 

 

 

 

見どころ

オカルトネタ満載

政府は陰の組織に操られている!を筆頭に、トカゲ人間やケムトレイルといったオカルトネタがたくさん。他にも下ネタ、薬物中毒ネタ、映画や有名人、サブカルまでこれでもかというほど小ネタが盛り込まれている。

 

ケネディ暗殺やNetflixがフレンズを配信する権利を確保するために1億ドルを払ったエピソードなど、ちょいちょい「これ本当にやったのか」と突っ込みたくなる話が満載。

 

『ムー』の愛読者や『ノストラダムスの大予言』を読んでいたオカルト好きはもちろん、洋画好きや『サウスパーク』など容赦なくジョークを効かせた作品が好きなら確実に楽しめる。

 

キャラクター

優秀だけど性格に難ありのレーガンを筆頭に、一癖二癖ある連中が集結。イケイケの操作・広報部門担当のジジ、軍人気質のイルカ人間グレン、ドラッグ常用時はまとも?なDr.アンドレ、下品なサイキック・キノコのマジック・マイク。普通のいい人のブレットがいなかったら壊滅しそうなカオスっぷり。それなのに、たまにすごくまともだからそのギャップが面白い。特に正反対のレーガンとブレットが仲良くなっていく様子は、バディもの好きにはたまらない

 

物語

本作は『怪奇現象グラビティ・フォールズ』の監督アレックス・ハーシュと脚本も務めたシオン・タケウチが作っているだけあって、ダークな展開とコメディのバランスが絶妙。毎回大笑いしながらも所々で胸をぐっと締め付けられ、感情がジェットコースターのように揺さぶられた。

 

特に5話は神回。古き良き80年代でなつかしさを呼び戻しながらも、今では時代遅れとなった負の側面をとことん皮肉っている。そこに普段は明るいブレットの影がパンチを利かせていた。

 

シーズン1の最後には新たな強敵も立ちはだかり、レーガンたちの苦難はまだまだ続く。続編が今から楽しみでしかたない。

 

個人的な感想

※ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

本作は男女のバディものであり、毒親に苦しめられている大人が親と、そして自らの内面と対峙していく話でもある。優秀で使命感が強いけど対人スキルが駄目なレーガンと、能天気だけどお人好しで心優しいブレット。性格も経歴も真逆のエリート2人は、実は同じような心の傷を抱えていた。2人とも友達がいなくて、毒親によって育てられている。

 

 

レーガンとブレットの過去

 レーガン飛び級の影響で孤独な少女時代を送った。ランドは自分がいい父親だと主張するが、実際には娘の気持ちを踏みにじっている。発明品で幼かったレーガンにトラウマを植え付け、未熟さをあざけって自尊心を奪い続けた。大人になっても娘を公私ともに邪魔にしている。母親のタミコも常に自分の世界にいて、「あなたのためよ」と善意を押し付けるなど、お世辞にもいい保護者とは言えない。

 

 ブレットは名家の落ちこぼれ扱いされていた。両親は優秀な上のきょうだいばかりに目を向け、ブレットを家族写真に写らせない、誕生日に誰も家に帰らないなど末息子を蔑ろにして育ててきた。周囲からも空気のような扱いを受け、ブレットは幼い頃から家族の影で寂しい思いをしてきた。大学生になって親元を離れてからも寮でいじめられている。

 

見えない虐待

レーガンとブレットは2人とも、孤独な子供時代と青年時代を過ごしてきた。そして大人になった今でも、毒親の存在や残された傷に苦しんでいる。お互いに指摘されるまで無自覚だったように、2人が受けた仕打ちは外からは見えない。

 

レーガンの両親は独善的で歪んでいるけど娘への愛はある。飛び級への理解があるなど、生活水準も悪くない。ブレットの家は上流階級で、衣食住と教育にはお金をかけられている。イェール大学の学費も生活費も全額出しているだろう。

 

確かに恵まれない子よりは幸せかもしれない。でも、2人ともしんどさを感じていて、大人になってからも無意識に苦しんでいる。レーガンに至っては心にしまい込んでしまうほどのトラウマを受けていた。

 

この辺りを親にも愛情があると擁護する人もいる中、正当化せずにちゃんと毒親として書ききってくれた所はうれしい。特にランドは愛情を名目に我欲と打算で娘を支配している。それが保護者のエゴであっても愛情は伝わる故に、今でも親や家族に囚われている人はきっと少なくない。

 

 

これからの2人

レーガンとブレットは全く似ていないようで、表面化しづらい痛みを抱えて育ってきた。寂しい幼少期と青年期を過ごした2人は、似た経験があるからこそお互いのそれに気づかせた。孤独だった2人が長所を認め合いながらビジネス・フレンドとして絆を深めていく様子には胸が温まる。

 

物語はまだ終わっていない。2人の心の傷は完全には癒されていないし、レーガンの前にはこれまで以上に前途多難な道が立ちはだかっている。レーガンとブレットはどのように過去と現在に向き合っていくだろうか。決して楽な道ではないけど、仲間がいる今はきっと大丈夫。

アウルハウス 3話 ルースと魔法学校 感想

もくじ

・あらすじ

・登場人物

・感想

・用語解説・小ネタ

 

・あらすじ

 イーダと砂浜にゴミナメクジの死骸拾いに出ていたルースは、魔界に魔法学校があると知る。行ってみたくて仕方ないルースだが、イーダは学校にあまりいい印象を持ってないみたいだ。

 

 砂浜から離れて森にやってきたルースは、同じ年くらいの少女がうっかり踏んでしまった草を魔法で元気にする/魔法を使う姿を見た。その少女ウィローはアボミネーション作り(魔法で作った泥人形)がうまくいかず、優等生のアミティに嫌味を言われていた。

 

 その頃、キングはイーダがルースにちゃんと魔法を教えないなら、自分が先生になると豪語。からかわれて怒ったキングは、どっちがルースの先生になれるか賭けを申し出る。イーダは拾ったゴミナメクジの卵をキングに渡し、1日で忠実な僕に育てたら彼の勝ち。負けたら変なあだ名をつけると言い渡した。

 

 怒ったウィローが出した茨をほめて意気投合したルースは、自分がアボミネーションのふりをして魔法学校に忍び込む代わりに、ウィローが授業でいい点を取れるようにすることに。二人の企みは大成功!ウィローは授業で初めてトップになった。彼女の友達ガスとも仲良くなり、三人で学校を楽しむ。

 

 一方、フーティからルースが魔法学校に行ったことを知らされたイーダ。犬用ビスケットを食べて立派に成長したキングのゴミナメクジに負けを認め、ルースの後を追って魔法学校に行く。

 

 ルースたちが三人で作戦の成功を祝っていると、教室にアミティが校長先生を連れてきた。校長はアミティか人間みたいなアボミネーションをよく調べるため、ルースの解剖を試みようとする。ウィローが最初に刃を入れるように勧められた時、ガスが機転を利かせてくれた。ところが、校長が侵入者を校内に閉じ込める魔法を発動させてしまう。

 

 魔法学校倉庫に隠れていたイーダの元にキングが飛び込んできた。制御不能になったゴミナメクジがキングを食べようとしている。キングは負けを認め、イーダはナメクジを追い払った。

 

 逃げ場を失っていたルースとウィローは、砂浜でイーダにもらった種を成長させて出口を見つける。二人の前に立ちはだかったアミティがアボミネーションを仕掛けてきたが、ウィローは自分を犠牲にしてルース校外へ逃がした。

 

 キングとイーダが大量の塩でゴミナメクジを小さくした所に、ルースが助けを求めてやってきた。後に残した友達が気がかりなルースだったが、ウィローとガスが追いかけてきて、三人は再会を喜ぶ。

 

 学校から出禁にされてしまったが、二人が魔法を教えてくれることになったし、イーダは弟子が初めて指名手配されたことを喜ぶのだった。

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/I_Was_a_Teenage_Abomination/Gallery?file=S01E03_I_Was_A_Teenage_Abomination_%2528598%2529.png

 

 

・登場人物

主な登場人物

ルース・ノセダ:人間界から魔界ボイリング島にやってきた。イーダの元で修行を続ける

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/I_Was_a_Teenage_Abomination/Gallery?file=S01E03_I_Was_A_Teenage_Abomination_%252849%2529.png

 

 

イーダ・クロウソーン:自称「ボイリング島でいちばん強力な魔女」。学校はあまり好きではないらしい

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/I_Was_a_Teenage_Abomination/Gallery?file=S01E03_I_Was_A_Teenage_Abomination_%252857%2529.png

 

キング:ルースとイーダと同居する妖魔。今回はゴミナメクジを手名付けようとするが……

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/I_Was_a_Teenage_Abomination/Gallery?file=S01E03_I_Was_A_Teenage_Abomination_%252870%2529.png

 

 

フーティ:アウルハウスを守る妖魔。今回は無限に伸びる体は使わない

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/I_Was_a_Teenage_Abomination/Gallery?file=S01E03_I_Was_A_Teenage_Abomination_%2528364%2529.png

 

 

新キャラ

ウィロー・パーク:アボミネーションの授業を受けさせられているけど、本当は植物の魔法が得意な優しい少女。ルースと気が合って仲良くなる

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/I_Was_a_Teenage_Abomination/Gallery?file=S01E03_I_Was_A_Teenage_Abomination_-_6.png

 

 

 

ガス(本名オーガスタス)・ポーター飛び級生。人間に興味津々で、「人間鑑賞クラブ」の部長も担当している。ルースに着けてもらったあだ名に大喜び

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/I_Was_a_Teenage_Abomination/Gallery?file=S01E03_I_Was_A_Teenage_Abomination_-_14a.jpg

 

 

アミティ・ブライト:嫌味な優等生。アボミネーションが得意だが、ルースの作戦でウィローにトップの立場を奪われてしまう

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/I_Was_a_Teenage_Abomination/Gallery?file=S01E03_I_Was_A_Teenage_Abomination_-_18d.png

 

 

バンプ先生:アボミネーションの授業担当。背がとても低く、アボミネーションに持ち上げてもらって授業をしている。

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/I_Was_a_Teenage_Abomination/Gallery?file=S01E03_I_Was_A_Teenage_Abomination_%2528311%2529.png

 

 

校長先生:ヘキサイド魔法学校の学校長

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/I_Was_a_Teenage_Abomination/Gallery?file=S01E03_I_Was_A_Teenage_Abomination_-_22a.png

 

 

感想

 今回は魔法学校もの。ヘキサイドがよくある古風な全寮制学校ではなくて、現代的なのが新鮮。ロッカーが大口を開けて本を出してくれて、始業ベルが叫び声をあげるなど、アメリカの学校でおなじみのものが魔界仕様になっている。

 

 なかなかいい場所みたいだけど、学校は生徒を型にはめる場所でもある。確かに型破りなイーダみたいに、合わない人にはとことん合わない。学びにも多様性が認められる今、そういう考え方の人が作品に登場するのも大事かもしれない。

 

 あと、魔法学校に侵入した方法はちょっとどうかと。学校に行きたい、嫌味な子に仕返ししたい気持ちはわかる。だからといって、自分の欲のために成果を横取りするのはよくないと思う。ズルをした人にトップの座を奪われて、本当のことを先生に言っても信じてもらえないアミティが気の毒になった。

 

 学校でのドタバタの傍らで進むキングのゴミナメクジ育成計画。プリンスジュニアと名付けるセンスや、犬用ビスケットを食べるだけでなついていると勘違いする詰めの甘さがかわいい。負けず嫌いだったり、威張っていても最後はイーダに助けを求める所は年の離れた弟みたいだ。ルースとイーダがちょっかいを出したりかわいがるのも納得。  

 こういう風に2つのストーリーに分岐した上で最後に1つにまとめる方法は、緩急やコメディとシリアスのバランスが取れると思う。

 

 ひとまずルースはアウルハウスで勉強することになったけど、また学校に行きたいと言い出した時にイーダはどうするのか。世界は広がって仲間も増えて、ルースの異世界滞在はもっと楽しくなりそう。

 

・小ネタ・用語解説

英語版のタイトル

’ I Was a Teenage Abomination’は、1957年に発表されたホラー映画 ‘I Was a Teenage Werewolf’と’I Was a Teenage Frankenstein’が元ネタ

 

ゴミナメクジ

巨大なナメクジ型の怪物。文字通り色々な物を食べて成長するため、その死骸はイーダにとって宝の山

 

アボミネーション

動く魔法の泥人形のようなもの。うまく作られたものは主人の命令通りに動く

 

ヘキサイド魔法学校

魔界の幼稚園から高校まである通学制の一貫校。制服は男女ともに濃いグレーの短いフード、チュニック、ベルト、ブーツと中世ヨーロッパっぽい服を現代的にしたデザイン。専攻ごとにインナーとレギンスの色が変わる。飛び級や勉強する分野の変更が許可されているなど融通が利き、典型的な人ではない生徒、ハンディキャップを持つ先生がいたりと多様性も認められている様子

 

キングがイーダにかぶらせた帽子

Dunce cap (低能帽)。昔のアメリカでは、行いや成績が悪い子に罰として’DUNCE’(のろま、覚えが悪い、劣等生)と書かれた紙製の円錐型の帽子をかぶらせ、教室のすみに立たせていた。本作のは‘SHAME’(恥)と、言葉を選んでいる

 

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引用元:https://theowlhouse.fandom.com/wiki/I_Was_a_Teenage_Abomination/Gallery?file=S01E03_I_Was_A_Teenage_Abomination_%2528424%2529.png

 

 

魔法学校もののお約束

人間(または人間界にいた魔法使い)、初めて仲良くなる親友、嫌味な優等生の構図は、ハリーポッターと賢者の石、リトルウィッチアカデミア、ミルドレッドの魔女学校(2017年版のドラマ)にも見られる